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そう遠くない近未来。
「エデン・インダストリー社」によって発見された次世代エネルギー、「アルカナ粒子」によって、世界は目まぐるしい発展を遂げていた。
幅広い事業展開をするエデン社が最も注力するフルダイブ型の仮想空間技術によって生み出された、世界最大の仮想空間サーバー『エデン』はビジネスや教育、娯楽など様々な分野に影響をあたえていた。
特に、『エデン』サーバーを介して体感プレイできる多人数参加型ゲーム（VRMMO）『ARCANADEA-アルカナディア-』は、仮想空間にファンタジー世界を再現し、現実の人々に非日常、もう一つの現実をもたらした。

『アルカナ』が満ちた世界

多人数参加型ゲーム（VRMMO）『ARCANADEA-アルカナディア-』では、自身の分身となるアバターで、人間以外の様々な生物やモンスターが生息する広大で神秘的なフィールド、「ARCANADEA」を冒険することができる。
自身の行動結果による成長要素やモンスターのテイム要素があるほか、この世界では例え死ぬようなダメージを負ったとしても体は傷つかない。システム化された痛覚情報のみが与えられ、一定の場所に転移するだけである。このような低リスクで体感できる非現実的冒険要素が特徴的で、だれもがクエストをこなし、時にバトルし、時にもう一つの日常を送ることができる。
迫力あるバーチャル演出は本物さながらの臨場感を与え、やり込み要素や戦略的要素の奥深さも相まって、『ARCANADEA-アルカナディア-』は世界中の人々を熱狂させ社会現象となっていた。

もう1つの日常

後に【壊世ノ夜】と呼ばれることになるある夜、『エデン』メンテナンス中にエデン・インダストリー社で起きた原因不明の爆発事故により、世界は光に包まれる。
この日を境に現実世界の各地では、異常気象や頻繁に起こる通信不良、相次ぐ失踪事件、人それぞれの身体能力の異常な向上など様々な奇妙な出来事が起こりはじめる。
そして、異常な現象が起こった現場付近で「アルカナ粒子」と似たエネルギー反応を持つ結晶体が発見される。
調査の結果、この結晶が異常事態に関係性があることは間違いないとされた。この危険な未知の結晶を『アルカナストーン』と名付け、政府は最大級災害特定危険物と断定する。
しかし、結晶をめぐる各国の意見のズレが対立構造を生み、穏やかな生活の片隅でゆっくりとだか確実に変化が起こっていた。

変わる世界

【壊世ノ夜】以来、異常現象のほかにもう1つ世界は大きく変化した。
それは、現実世界には存在しないはずの生命体の姿を視認できる者、視認できない者が現れたこと。
この未知の生命体は不思議な力を持ち、人間の精神や社会構造に危害を加えようとするもの、人間社会に溶け込み害をなさないものが存在する。
やがて後者の存在を、親愛なる＝「Dear」の意味をなぞり『Dears-ディアーズ-』と呼ばれるようになる。
そして、エデン社は3つの衝撃的事実を世界に発表する。
1. アルカナ粒子はディアーズたちの別世界からもたらされたものであったということ。
2. アルカナに近い力をもったディアーズならばストーンを回収することができること。
3. ディアーズとともにストーン回収に従事できる人間を「ディアマスター」と任命し、必要な強化・サポートツールを無償で提供し、成功報酬を与えること。
こうして事態収拾のほかにも、ある者は報酬のため、またある者はディアーズの力を求め、さまざまな思惑を持った『ディアマスター』が世界に現れる。
その光景はまさに、『ARCANADEA-アルカナディア-』で見たそのものであった。

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